気道疾患フロンティア研究会

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代表幹事挨拶

日本気道疾患研究会(J‑STAR)の発足にあたって

 このたび、日本の呼吸器領域における新たな学術的連携と知の創出を目的として、「日本気道疾患研究会(Japan Strategic Team for Frontier Airway Research:J‑STAR)」を発足させる運びとなりました。本研究会は、学際的知見の融合を通じて、慢性気道疾患に関する包括的かつ先駆的な研究の推進を目的とするものである。アレルギー性免疫応答、炎症機序、気道における生理学的変容ならびにそれらに関連する閉塞性肺疾患に関する最新の研究成果を広く共有し、学術的討議と知的交流の場を提供することを目指しております。

 本会の設立にあたっては、1961年創設の「閉塞性肺疾患研究会 / 呼吸生理フォーラム」、さらにその前身である「肺気腫研究会」が築いてきた半世紀以上にわたる学術的蓄積を礎としながら、近年まで活動を続けてきた「佐島カンファレンス」が果たしてきた学術的役割を継承しております。とりわけ、呼吸生理に根差した臨床知の探究、精緻な討議を重ねてきたこれらのカンファレンスの精神は、J‑STARの根幹にも息づいております。

 現代における気道疾患の研究と臨床は、急速に進化しつつあります。学問的にも臨床的にも、気道疾患の多様性が強く意識されるようになり、喘息、COPD、気管支拡張症、非結核性抗酸菌症、副鼻腔気管支症候群などがしばしば複合的に重なり合うなか、それぞれの疾患に内在する多様性と、疾患横断的な共通病態の両面に目を向けることが求められております。解析手段においても著しい進展があり、従来の生理学的評価に加えて、画像解析、免疫・分子生物学的手法、さらにはゲノム解析まで、多様な技術が気道疾患の新たな側面を明らかにしつつあります。こうした変化は、診断の精緻化とともに、病態理解に基づく治療の個別化・最適化へと我々を導いています。

 J‑STAR は、こうした多次元的かつ複雑な知の集積を可能とする場として、学際的連携と世代を越えた知の継承を大きな柱としています。とりわけ、将来を担う若手呼吸器内科医・研究者が中心となって自由闊達に議論し、臨床研究を構想・実行していけるような環境の整備を重視しています。

 今後は、多施設共同研究の創出や産学連携の強化を通じて、J‑STARが日本全体の気道疾患研究の中核的ネットワークとして発展していくことを期待しております。そして、本会が国内外の研究者を結びつけ、世界の気道疾患領域における知の先導役となることを、心より願っております。

 皆様におかれましては、本研究会の趣旨をご理解いただき、積極的なご参加とご助力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。


2025年8月
日本気道疾患研究会(J‑STAR)
代表幹事 權 寧博

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